おいでよ、アートスクール!(前編)

突然ですけど皆様、まったく予期していない連絡を受け取った際、どのようなお顔になりますでしょうか?これからお話する本日の枕部分を読んだら、おそらく皆様、私と同じ顔をされると思います。

数日前のこと、大学院の元同級生からinstagram経由で数年ぶりに連絡がありました。予想していなかった相手だったので一瞬混乱したのですが、内容を読んでさらに大混乱…。その気になる内容とは…

「俺のこの質問がクソだってことは十分わかってるんだけど、”JAPANESE MAKIGUSO PEN”てどこで買えるか知ってる?」

( ´°ω°` )???

ジャパニ〜ズマ〜キグ〜ソペ〜ン…てなんぞ???しかも、数年ぶりに私にわざわざ連絡してきた内容がコレ???一瞬どころか数分固まった私でしたが、まきグソといえばアレしかないですよねw。さっそく検索してみたのですが一行にヒットする気配はなく、別ワードで検索してみたところ、それらしきブツをいくつか発見、写真とリンクを送り、事なきを得たのでした。予想はついていたのですが、娘さん(3歳)のために探していたそうです。とりあえず、見つかってよかった。キミの人選は大正解だったぞ!

…というアホなエピソードをきっかけに、ここ2、3日大学院生活のことをぼんやり思い返していたのですが、とにかくめちゃくちゃ充実していて楽しかった!!!間違いなく人生の大きな節目の一つだったと断言できます。そこで本日は、私の通った大学院の簡単な授業内容と校内の様子、卒業までの流れを、二回に分けてお話したいと思います。ではでは、早速行ってみよう〜!

NYはマンハッタン、East 23丁目に位置するSchool of Visual Arts(以下SVA)という芸術大学が私の母校でございます。1947年に設立、アメリカでは最大規模を誇るアートスクールで、キース・ヘイリングを始め、ロドニー・グリーンブラットKAWSなど、多くの著名人が卒業している芸術系の名門校でございます(自分で言うのも何ですけどw)。

ちなみに私、ココの大学も卒業しておりまして、大学ではグラフィックデザインを、そして大学院ではファインアートを専攻しました。入学時にまつわる、名付けて「日の当たる裏口入学」というアホなエピソードもあるのですがw、これはまたいづれかの機会にお話することにして、さっそく、SVAファインアート科マスターコース(大学院)についてご紹介いたしましょう。

まず、大学院のファインアート科の校舎は、East 23丁目ではなくWest 21丁目にございます。アメリカの大学といえば、街全体が学校の敷地というぐらい巨大なキャンパスを想像されると思うのですが、そこは土地に限りのあるマンハッタン島。どの大学も大抵メインの校舎の近くに、学科によって建物が分散しております。超名門コロンビア大学は比較的大きなキャンパスを持っていますが、NY大学はSVA同様、各所に校舎が点在しております。

さて、SVAのファインアート科が入居するW21丁目の校舎、ここの8階と9階が大学院の縄張りです。入学早々、一人一人に約20〜30平米の制作スタジオが割り当てられます。年齢も国籍もバラバラな2学年を合わせた約60人ほどで、この2フロア分の敷地を分配します。ファインアート科のみ24時間ビルにアクセスOK。自分だけの基地で、好きなだけ制作に集中できるという、非常に恵まれた環境です。

左が私が1年時のスタジオ、右が2年時のスタジオ。これは後編でお話するOpen Studioという期末イベント中の写真なので美しく片付いていますが、普段はグッチャグチャのドロドロw。好きな家具を持ち込んだり、改造も自由なので、当然、寝床に使う生徒もいるワケで…w。

行き倒れの友人Jと、ベッドを持ち込む下級生。こんな感じなので、住もうと思えば余裕で住めます。

さて、さっそくファインアート科の授業内容についてご紹介いたしましょう。SVAは2セメスター(2学期)制となっておりまして、9月〜12月の秋セメスター、1月〜4月の春セメスターに分かれております。授業内容は全員参加の講義と、各選択講師陣による個人授業の2ブロック編成となります。

 

• 講義(1ブロック目)

• 講師陣の個人授業(2ブロック目・ここで制作の進捗を報告)

• スタジオで制作(授業以外のすべての時間・好きなように好きなだけ活動可能)

• 学期末に試験(ここで講義の成績がつく)

• 制作のレビュー(ここで実技の成績がつく)

• 期末発表会(Open Studio)

 

以上がSVAのファインアート・マスターコースの1学期の大まかな流れです。

まず、1ブロック目の講義から説明いたしましょう。学部長を初めとした講師陣が、アートにまつわるエトセトラ、制作のインスピレーションになるかもしれないナニかの画像を紹介、ナニかナゾの本を読んだり、ナニかのグループワークでプレゼンをしたりするんですけど………………いやぁ、あんま覚えてないわw。なんでしょうね、超絶に興味がなかったんでしょうね。とにかく、プレゼンをする機会がそこそこあったように思います。

覚えているのは、 学部長の講義の期末試験の日、大熱が出てしまい、まったく英文が入ってこず、途中から「ジャパニーズカレーの作り方」のマンガを描いたんですけど、なんかBをもらえたということぐらいでしょうか(動物のお医者さん参照)。講義みたいなもん、Fでなければなんでも良いわw。

ファインアート科の生徒が力を入れて取り組むのが、2ブロック目の選択講師陣による個人授業です。これは、各講師陣によって全く内容が異なっております。基本講師陣が、各生徒のスタジオを訪れ、マンツーマンでお悩み相談&制作の進捗報告という内容となっております。これが非常に贅沢なんですよ!各講師陣は大活躍中の現役アーティストばかりで(中には超有名人もいらっしゃいました)この方たちから定期的に、作品や創作についてのアドバイスを直接いただけるのです(約30〜40分)。そりゃ気合入るって。

私が2ブロック目の授業で最もクソだと思っていたのが、クリティック(critic=批評家)と呼ばれる「自分の作品を他のクラスメイトの前でプレゼンし、批評を受ける」という、別名公開処刑型スタイルの授業です。

『消費者にわかりやすいメッセージをクライアントの代わりに届ける』という明確な目的のあるグラフィックデザインの場合、他者と共有しやすい、ある程度の正解が存在するため、クリティックにおける他の生徒からの批評や意見はとても参考になるのですが、ファインアートの場合、独自の世界観というまったく正解のないところで議論が交わされます。プレゼンする側も批評する側も、超個人的な見解や価値観から来る意見のぶつかり合いとなるため、それが作品のコンセプトや趣旨、世界観と相反するものであれば、まったく的外れすぎて参考にもならず、ただの泥中の泥仕合となるワケです。

この地獄のような公開処刑型クラスを好む講師陣、結構いらっしゃいまして、私、徹底的に避けてたんですけど、2年の秋セメでどうしてもハズせず、しぶしぶ受けたらやっぱりクソだったというw。的外れ、深読み、ウンチク好きの標的にされ、自分の世界を徹底的にケナされるというクソクソな体験でございました。人に見てもらって感想を聞くってのも、大事っちゃー大事なんですけど…聞きすぎて自分の世界観がブレブレになってちゃ意味ないですもんねぇ。

とにかく好きなだけスタジオに入り浸ることができるので、制作の合間に授業に出るという感じw。また、校舎はアートの中心地「Chealsea」という地区にあるため、制作の途中で抜け出して、ギャラリーのオープニングを覗きに行き、学校にもどって制作というような、非常に恵まれた環境の中で制作に向かう事ができました。現代アートの中心地に身を置いて創作活動ができる、これほどの贅沢な環境はあまりないのではないでしょうか。

以上が、今回のネタの「前編」となります。いかがでしょう?私日本の芸大に通っていないので、イマイチどんな感じかよくワカランのですが、SVAのファインアート科マスターコースはこんな感じです。「後編」では、学期末の晴れ舞台「Open Studio」、卒業までの流れ(卒業制作や卒業論文、卒業制作展など)について、ご紹介したいと思います。

細かいアホエピソードを端折りまくっても結構な長さになってしまいました…。アホエピソードをもっと盛り込めば、よりSVAの魅力をお伝えできたと思うんですけど、エゲつない長さになってしまいそうなので、本日はこれにて失礼いたします。

それでは皆様、よい週末をお過ごしくださいまっせ〜♡

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