BEARIFICATION SERIES

皆様、いかがお過ごしでしょうか?おかげさまで私の世界、止まりました。秘密道具的ネーミングのサプリが効果絶大なのでしょう。その後、とっても快調でございます。

さて、気がつけば早7月後半。今年もいつの間にか折り返し地点を過ぎておりました。いや〜〜〜、怒涛でしたね、今年前半戦。否、いまだ全世界上げて怒涛の真っ只中。誰も経験したことのない未曾有の毎日でございますが、個人にできることはただ一つ!最低限気をつけて楽しく過ごす!これに尽きると思います。

私も、今年の制作スケジュールを見返したりしていたんですけど、笑っちゃうぐらい総崩れw。こんなおこもりシフト、誰が想像していたよ!?まぁ、そのイレギュラーシフトも、全世界でトップクラスに楽しんでいるだろう一人であることは自負しておりますが、その中でも、今年どーしてもやりたかったけど、この様子じゃしばらくお預けだねぇというプロジェクト「Bearification」について、本日は語ってみたいと思います。

「Bearification」とは、「擬人化(personification)」からもじってつけた私の造語で、日本語に訳すと「擬熊化」といいます。Aboutでも載せておりますが「擬熊化」とは、「身の回りに存在するすべてのモノにクマの顔をつけ、擬人化ならぬクマ化する」ことで、これは私の創作における大事なコンセプトの一つです。それを体現したプロジェクトこそが、本日ご紹介するBearificationです。

大学院生活の記事でもちらっと触れたのですが、きっかけは当時のスタジオ備品への落書き。これが妙にウケまして、もし、誰も傷つけないストリートアートが存在するならば、具体的にプロジェクトとして取り組んでみる価値はあると思い立ちました。街の所々に当たり前に存在する見慣れたモノにクマの顔がついていて、「モノ」として捉えていたものが、キャラクターとしての何か別のモノに見えてきたら、なんだかクスっと笑えて愉快じゃない?

「街ゆく皆様にささやかな笑いを」を最初のコンセプトとして胸に秘め、実際街に出て試してみたのがコチラ。

名付けて、Bearification Prototype。ビジュアル的にはしっかりキャラ化していて大成功だったのですが、ここで早速壁にブチあたりました。コレ、実際街に出て、コッソリ公共物に貼り付けてきたんですけど、実際にやってみてびっくり、ものすご〜く不愉快だったんです。なぜだか分かります?

ストリートアートという分野は、その時々に起こる「今の瞬間」の社会問題などを取り上げたメッセージ性の高い物が多く、そのほとんどが「匿名」であり、公共物を汚す、もしくは傷つけることが大前提の分野なのであります。ストリートアーティストとして最も有名なのは、最近、皮肉とユーモアたっぷりな「マスク着用メッセージ」で全世界に衝撃を与えたBanksyでしょう。ロンドンの地下鉄の車両に乗り込んで、がっつり描きあげた一連の落書き。強烈なメッセージとして人々に印象づけました。

ですが、どんなにパンチのある素晴らしい内容でも、器物損壊であることは間違いありません。先の試作品のクマちゃんたちも、パンチの強度こそ天下のBanksy様と比べ物になりませんが、顔をその場に残して去った時点で、器物損壊にあたる可能性は非常に高いワケです。「街ゆく皆様にささやかな笑いを」がコンセプトなのに、もしかしたらクマちゃんたちを見て不愉快な思いをするヒトも出てくるかもしれません。

「うちのクマが誰かに嫌な思いをさせるなんて…そんなの許せない!!!」

この心の雄叫びと同時にBearificationプロジェクト、約5年ストップしましたw。つまり、ストリートアートの特性と、基本ハッピーハッピーで行きたいBearömixxのコンセプトに折り合いをつけるのに、5年もかかったということです。どうやったら皆に嫌な思いを与えず、街の公共物をクマ化できるか…。いっそ諦めようかとも思ったのですが、目鼻を付けただけで「Bearömixxのクマ化」する面白さを、どうしても諦めることができず、悩みに悩み、考えに考え、そうして出した答えがコチラ…

「貼って撮って、はがしたらエエやん」

ズコーーーーーーーッッでしょw。5年もかかって出した答えがコレですよw。いや、ほんと、逮捕と紙一重な現場で作品を残している硬派なストリートアーティストからしたら、なんともヘタレな、ストリートアートと語るだけでもおこがましいズッコケスタイルなんですけど、コレが一番、私が納得する実現可能なスタイルでございました。そうして2017年にNYで開始したBearification Project第一弾がコチラです。

Bearömixxの本拠地、NYのロングアイランドシティを中心に行ったプロジェクトのほんの一部です。NYらしいヤンチャなクマちゃんたちが生まれました。コレ、誰に見せても概ね好評で、かつニヤリと笑ってくれるという思惑以上の反響で、かなり手応えを感じることができました。そこそこの枚数をこなし、ようやくBerificationとして形になってきたころ、このプロジェクトに転機が訪れます。

昨年の2019年、横浜のBankARTというレジデンシープログラムに参加し、初めてNYとは別の土地でBearificationを行ったのですが、そこでこのプロジェクトが秘めていた本質に気づくことになりました。その本質について語る前に、まずは横浜で行ったBearification YYの画像をご覧ください。

最初の2枚は横浜のみなとみらいで、後の2枚は黄金町や関内で行ったものです。いわゆる、新市街と旧市街と呼ばれるエリアなのですが、あきらかに、皆性格が違うクマちゃんに見えませんか?かたやシュっとお澄まし風のお顔、かたやちょっとのんびり風だったり。ここで、もう一度NYのクマちゃんと見比べてみてください。また、それぞれ違った性格に見えませんか?

そう、Bearificationプロジェクトの本質とは、実は街の公共物を「擬熊化」することにより、その街の特色があらわとなり、結果、「街そのモノを擬熊化」するプロジェクトだったんです。いや〜、コレ、横浜で実際にやってみるまで、まったく気付きませんでしたよ。

←その時の横浜のクマちゃんたちを、1冊の本にまとめた動画がございますので、ご興味のある方は、音声マーク横の四角をクリックして、全体表示で見てみてください。(表示に多少時間がかかるかもしれません…)

街によって出現するクマちゃんがこんなにも違うなら、ぜひいろんな街に訪れて試してみたい!!!その欲求にかられ、横浜のレジデンシー終了後、舞台となったのは当然、我が街「大阪」です。

それでは本邦初公開の、Bearification OSKのほんの一部をご覧くださいませ。

ね、ぜんっぜん違うでしょ?つつこうものならギャグの一つも飛ばしてくれそうな、なんだか濃い〜性格だろうクマちゃんたちが出現しました。街と場所を変えるだけで、こんなに違った性質が見えてくる…いや〜、このプロジェクト、自分で言うのも何ですけど、ホント楽しい!

今年はとにかく、色んな街に出かけて、その土地特有のクマちゃんを発見!!!…したかったんですけどねぇ、今は全世界緊急事態でございます。各地への移動は、もう少し先にお預けです。お篭り自宅ミニスタジオ(約2畳)にて、できるプロジェクトを粛々と楽しく進めたいと思います。

そんなワケでして、いろんな場所でこのプロジェクトを試みた暁には、横浜編のように1冊の本にできたらいいな〜なんて思っております。もしこのプロジェクトにご興味のある出版社の方いらっしゃいましたら、ご連絡、随時お待ちしておりますっっっ(土下座)。

それではどちら様も、うがい手洗い消毒マスクで、非常時を楽しく乗り切ってくださいませ〜。

Comment

There is no comment on this post. Be the first one.

Leave a comment

CAPTCHA